ICP-AESの代表的な3つの分光方式と使い分けについて簡単に解説します。
ICP-AES
ICP-AESはアルゴンプラズマを用いて、試料溶液中の元素を励起させ、その元素が発した光を分光・測定する分析方法です。
その構造は主に発光部、分光部、検出部からできており、分光方法の違いによって大きくシーケンシャル型(逐次測定型)とマルチ型(多元素同時測定型)の2種類に分類されます。
ICP-AESについての簡単な説明はこちらに記載されています。
シーケンシャル型
シーケンシャル型は回折格子を回転させることで、各分析線を逐次検出器に導くことで測定を行います。
分光器としては、ツェルニ・ターナー型が広く用いられています。
ツェルニ・ターナー型

回折格子を回転させることで、一連のスペクトルを測定することができ、スペクトルの重なりなどを確認することが出来ます。
しかし、回折格子を回転させて測定を行うため、測定時間が長い、測定強度が低いなどの欠点があります。
なので、ツェルニ・ターナー型は環境試料などの成分組成が不明な試料の測定や定性分析を行うのに適しています。
マルチ型
マルチ型は複数の検出器やCCD半導体検出器を用いることで、多数の元素を同時に測定することが出来ます。
分光器としては、複数の検出器を使用するパッシェン-ルンゲ型、CCD半導体検出器を使用するエシェル型があります。
パッシェン-ルンゲ型

分析線ごとに検出器を持ち、測定感度も検出器ごとに設定できるため、多元素を短時間、且つ、高強度で測定することができます。
ですが、検出器のない分析線は測定ができないことやスペクトルの重なりなどの影響などの各種干渉を確認することが出来ません。
その為、スペクトルの重なりなどの影響を補正するには、共存元素補正を行う必要があります。
以上のことから、パッシェン-ルンゲ型は組成が類似した試料を大量に測定すること向いています。
エシェル型

エシェル型はプリズムとエッシェル回折格子を用いて一連のスペクトルを段階的な帯状に変換し、それをCCD半導体検出器を用いて測定を行うことで、帯単位でスペクトルを見ることが出来ます。
そのため、ツェルニ・ターナー型とパッシェン-ルンゲ型の中間的な存在とも言えます。
ですが、スペクトルの分解能はCCD半導体検出器に依存し、分析線ごとに測定感度の調整も出来ないため、高濃度試料の場合、検出器が飽和状態となり、測定が行えません。
まとめ
| 分光方式 | 長所 | 短所 | 向いている試料 |
|---|---|---|---|
| ツェルニ・ターナー | スペクトル確認可 | 時間が長い | 未知・定性 |
| パッシェン-ルンゲ | 高速・高感度 | 干渉見えない | ルーチン |
| エシェル | 多元素同時 | 飽和・分解能 | 中濃度 |
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